身強/身弱はなぜ重要?
命術では「身強」「身弱」という単語をよく目にします(身強は「身旺」ともいいます)が、簡単にいうと、日干(=自分)の気のエネルギーを表した概念です。
身強=自分の気のエネルギーが高い→気/自我が強いひと、身弱=自分の気のエネルギーが低い→気/自我が弱いひと、と一般に解釈されますが、
特に四柱推命では(そのような解釈にとどまらず)身強/身弱を誤ると運勢の判断も誤ってしまうので、超重要です。
しかしながら、四柱推命では、流派により身強/身弱の判定方法が微妙に異なります。
なぜか?よく当たるように、それぞれが判定方法に手を加えているからで、
それでも(よく当たる)スタンダードな判定方法は確立できていません。
でもね、それは(物理法則みたいに)現実が宿命通りになるとナイーブに考えていることに原因があると思います。
命式だけで、現実の人生が決まるわけないじゃないですか?!
命式が表す宿命は、人生の傾向をザックリ決めるものだとは思いますが、
重要なのは「その宿命をどう使うか」で、そこは人間の自由意思の世界でしょう。
だから、この入門講座では、身強/身弱の判定についても、核になる部分をシンプルにお伝えします。
四柱推命では、身強/身弱の判定は、生剋比を用いて、おもに旺相休囚死の考えかたにもとづいて行います。※
すなわち、日干を中心に生剋比を観て、旺相が多ければ身強、休囚死が多ければ身弱と判定します。
ただし、占いのための「陰陽五行」無料講座(第9回)旺相休囚死とは? - THIS IS YOUR LIFE!で説明したとおり、
天干にエネルギーを供給するのは地支という関係なので、この入門講座では、日干と地支(年支・月支・日支)との生剋比のみで判定します(天干との生剋比も考えるのが一般的です)。
※算命学では、四柱推命とは異なり、十二大従星(四柱推命では十二運といいます)を用いて判定します。
日干と地支の生剋比
前回挙げた男性(1994年7月5日生まれ)の例で説明します。
壬 庚 甲
辰 午 戌
日干は壬で、これを中心に戌・午・辰との生剋比を観ます。
生剋比を観るときは、次のように、頭の中で五行に置き換えて考えましょう。
水 金 木
土 火 土
すると、年支の戌とは日干が土剋水と剋されるので死、月支の午とは日干が水剋火と剋すので囚、日支の辰とは日干が土剋水と剋されるので死、となります。
つぎに、全体のエネルギーを観るために、旺を5点、相を4点、休を3点、囚を2点、死を1点として点数化し、合計点を3で割って平均点(小数点第2位を切り捨て)を出します。
例では(1点+2点+1点)÷3=1.3点です。
最高5点、最低1点、平均3点なので、3点「超」は身強、その他は身弱と判定します。
例は3点以下なので身弱ですね。
ただし、月支からの影響は強いので、3点以下でも月支からのエネルギーが「旺」なら身強と判定します。
例は月支が囚なので、身弱のままです。
別の例で判定してみましょう。
同い年の女性(1994年5月22日生まれ)の命式です。
戊 己 甲
申 巳 戌
日干の戊を中心に申・巳・戌との生剋比を観ます。五行に置き換えて考えます。
土 土 木
金 火 土
年支の戌とは日干が比和するので旺=5点、月支の火とは日干が火生土で生じられるので相=4点、日支の申とは日干が土生金で生じるので休=3点、平均点は(5点+4点+3点)÷3=4点で身強、となります。
まとめます。
①日干を中心に年支・月支・日支を観て、
旺(日干と比和する)を5点、
相(日干が生じている)を4点、
休(日干が生じられている)を3点、
囚(日干が剋している)を2点、
死(日干が剋されている)を1点とし、
合計点を3で割って平均点(小数点第2位を切り捨て)を出す。
②3点「超」は身強、その他は身弱。
ただし、3点以下でも月支が旺なら身強。
最高5点に近いほど身強の特徴が強く、最低1点に近いほど身弱の特徴が強く、平均3点の前後はどちらともいえない、とザックリ観ればいいと思います。
次回は、その身強/身弱の特徴について紹介したいと思います。
※命式の変化
後の回で説明するかもしれませんが、地支は変化することがあって、
四柱推命では、命式の変化を観た後で、身強/身弱の判定をします。
たとえば、日干が甲で、地支が申・子・辰のひとは、
金・水・土→死・相・囚で(1+4+2)÷3=2.3点→身弱なのではなく、
申・子・辰はすべて水の五行に変化(三合水局)するので、水・水・水→相・相・相で4点→身強と判定します。
私はというと、身強/身弱の判定で命式の変化は考えません。
命式の変化は(命式の条件ではなく)現実の条件によって起こるもので、常に変化するわけではないと考えるからです。
だからまったくの私見ですが、私の鑑定経験からはそれでまったく問題はありません。