吉凶の背後にある中庸
「運」と言っても、「何の」運かでいろいろあります(金運、健康運、仕事運、結婚/恋愛運など)し、
それらを全部ひっくるめた総合運のようなものも考えられます。
今回は総合運、なかでも、身強/身弱=社会生活のエネルギーという切り口から観た吉凶についてお話します。
占いのための「陰陽五行」無料講座(第13回)身強/身弱と喜神/忌神 - THIS IS YOUR LIFE!では、陰陽五行論は中庸(バランスがとれている状態)をよしとするから、
身強は日干=自分を抑える五行(日干が休・囚・死になる五行)が喜神、日干=自分を扶ける(たすける)五行(日干が旺・相になる五行)が忌神と説明しましたが、
なぜ、中庸をよしとするのでしょう?
それは、強=陽と弱=陰の本来のバランスが失われると元に戻す力が働くからです。
すなわち、偏りが大きいほど、その力は急激なものになって影響も大きくなります。
無理して働きすぎると突然倒れたり(最悪、過労死)、
問題を隠して放置していると突然それが明るみになって対応に追われたり、
経済だって景気が過熱しすぎるとその後の不況も深刻だったり(山高ければ谷深し)、
世のなか、例はたくさんありますよね。
だから、ほどほど=偏りすぎないように気をつけるのが一番、というわけです。
後天運の吉凶の判断
身強/身弱から後天運の吉凶をどのように占うのか、人生の大きな流れを形づくる大運で説明します。
大運の干支は、月干支から順まわり/逆まわりで10年ごとに周って、命式に影響を及ぼすものでしたよね。
では、身強/身弱にどう影響するのか。
身強/身弱は、日干と三つの地支との生剋比で判断しましたよね。
だから、大運の干支の影響も、周ってきた地支の五行で観ます。
すなわち、地支の五行が喜神であれば運のよい(吉)10年、それが忌神であれば運の悪い(凶)10年、というわけです。
身強/身弱というのは「社会生活のエネルギー」の強弱と解釈したので、この場合の吉凶というのは、社会生活のしやすさ、すなわち、生きやすさと解釈してよいと思います。
たとえば、身強は社会生活で消費すべきエネルギーが高く、現実的な成果(お金や名声など)をもとめて主体的に動く宿命ですが、
そこに大運で忌神が周ると、さらに消費すべきエネルギーが高くなるので、バランスを崩しやすい。
だから、意識して自分を抑えるようにしないと、自己主張が強くなりすぎて周囲と軋轢が生じたり、無理に無理を重ねたり、結果、思わぬ出来事でせっかく得た成果を失うことにもなり兼ねません。
あるいは(多くのエネルギーが消費すると解釈すれば)現実的な成果を得るための障害が高くなるということかもしれません。
他方、喜神がまわると、自分を抑える力が無意識に働くので、バランスをとりやすい。
行き過ぎる前に立ち止まって冷静に考えることができるようになり、結果、想定外の出来事を避けられるかもしれません。
あるいは、現実的な成果を得るための障害が低くなるということかもしれません。
切り口のひとつに過ぎない
ご注意いただきたいのは、
ひとつは、喜神がまわると「必ず」よいことが起こる、忌神がまわると「必ず」悪いことが起こる、というわけではないということ。
常識で考えても、人生はそんなに単純なものではないし、自分を中心に世界がまわっているわけでもありません。
要は、周ってきた気がそのように働きやすいということで、そのような事象が起こるかは、それ以外の現実の諸事情や本人の意識によります。
事象は(一つの要因ではない)複数の要因が複雑に絡み合って起こるものなので、上で紹介した吉凶は、結果だけを均してみるとそのような傾向がありそうだ、という程度のものに過ぎません。
また、身強/身弱=社会生活のエネルギーという切り口からしか観ていないので、ラフなスケッチに過ぎません。
これとは違う切り口から観ると、一見矛盾するような解釈になることもよくあります。
いろいろな切り口から重ねて観ていくことで、その人物の運の吉凶が少しずつはっきりしてくる、というのが実際の鑑定作業です。
デッサンにたとえるなら、身強/身弱という切り口で書けるのは人物の輪郭だけで、
太っているか痩せているかなど大まかなことはわかっても、二枚目なのか三枚目なのかなど細かいところまでは推しはかることはできません。
もうひとつは、身強でなければ身弱というように白黒はっきり分かれるものではなくて、幅があるものなのだから、
身強とも身弱ともいえないようなひと(「身中」とも言います)も多いということ。
前にも書いたように、私の経験上、平均が四捨五入して3点の範囲(2.5点以上3.5点未満)はそのような感じで、故に喜神/忌神による影響も小さいと思います。
それよりも、日干が旺・相になる五行が周ると身強、日干が休・囚・死になる五行が周ると身弱の傾向が出るように思います。
このように、身強/身弱と喜神/忌神による吉凶判断はそんなに感度のよいものではありませんが、
それを踏まえて活用するなら、吉凶の目安として強力な武器になると思います。
今回は、能書きで終わってしまいました。
次回は、具体的な例で後天運の吉凶を観たいと思います。