THIS IS YOUR LIFE!

人生後半の処世術について考えます

占いのための「陰陽五行」無料講座(第17回)後天運の活用

 

これまでのまとめ

日干の強弱=身強/身弱は、社会生活で使う人間関係の気のエネルギー(以下「社会生活のエネルギー」)で、年支・月支・日支の五行との生剋比でからもとめられました。

身強/身弱にはそれぞれ得手/不得手があって、身強はヒト・モノ・カネとかかわる現実的な仕事に強く現実を変えていくタイプ、身弱は逆に精神的な仕事に強く現実に合わせていくタイプ。

そこに、人生の四季=大運や年運/歳運の干支がめぐって、命式に影響を及ぼします。

すなわち、中庸(バランスがとれている状態)が一番だから、身強は日干が休・囚・死になる五行の地支、身弱は旺・相になる五行の地支がめぐる時期が吉(運がよい)。

以上が陰陽五行論にもとづく、五行の生剋比のみによるシンプルな鑑定です。

でもね、この時期は運がよい/悪いだけの鑑定ってあまり意味ないよね、というのが前回の問題提起でした。

では、今回紹介したシンプルな鑑定は、どのように活用すれば効果的なのでしょうか?

 

吉凶よりも開運

吉凶=運がよい/悪いという判断は、占いの入り口に過ぎません。

運がよかったら何もしなくても上手くいくのか、逆に運が悪かったら何をしても上手くいかないのか、そんなバカげたことあるか!というのは、冷静に考えたらわかります。

重要なのは、何をすべきで何をすべきではないのか、いつどのようなことに注意すべきなのか、といった運勢にもとづく今後の行動指針を知ることではないでしょうか。

開運という言葉をよく耳にしますが、玄関に竜の置物を置くとか、自分に合った石を買うとか、赤い服を着るとか、東の方角にある神社に行ってお参りするとか、そんなお手軽なことで、運は本当に開けるのでしょうか。

一時的には運がよくなることはあるかもしれませんし、納得できる理屈があるのであれば、私もそのような占いを否定はしません。

むしろもっと研究して積極的に活用したいと思います。

しかし、人生の運を開くということであれば、これまでを振り返って、改めるべきところを改めていくほかなく、

命術(算命学・四柱推命)の重要な使命は、そのような人生の開運のアドバイスにあると、私は思います。

宿命と現実

命術は、命式の良し悪しを鑑定して、命式の良いひと(貴命とか上格とか言います)は運が良いひと、命式の悪いひと(貧命とか下格とか言います)は運が悪いひと、と鑑定するのが一般的です。

でも「それってどうなのー?!」「そもそも、占い師って、他人の人生を貴命/上格とか貧命/下格とか判断できる立場なの?!」と、私は思います。

鑑定経験を積んでいればわかりますが、貴命/上格だって人生に失敗しているひとはたくさんいますし、貧命/下格だって人生に成功しているひとはたくさんいます。

それを何とか理論どおりにしようとして理論にいろいろ手を加えるから、複雑怪奇で矛盾だらけの理論になるし、流派もいろいろと分かれるのだと思います。

そうではなくて、そのひとは宿命をどのように活かしているのかにもっと注目べきです。

宿命は人生の大枠を決めるものだと思いますが、同時に自由度は大きくて、

同じ生年月日・性別=同じ宿命なのに違う人生になるのは、それをどのように活かしているのかがそれぞれで違っているからです。

 

それに、宿命という人生の大枠から外れているひとだって普通にいますが、

そういうひとは(私の研究では)やがて運を落として不本意な人生をおくることが多いように思います。

サボテンは日陰に置くと枯れますでしょ?

逆に、紫陽花(あじさい)は日向に置くと枯れますでしょ?

人間も自然も、宿命と違う生きかたをしていたら、やがては淘汰されます。

 

後天運を活かす

では、身強/身弱は、どのように後天運を活かしていけばよいのか?

まずは、いまの自分の生きかたに解決すべき問題がないかを振り返ってみましょう。

身強/身弱は生きかたのベースなので、問題の原因はその使いかたにあるということもよくあります。

身強はエネルギーを出して現実的な成果を志向する宿命なので、たとえば、成果を得られずにくすぶっている状況にいたら、チャレンジできる舞台を模索すべきでしょう。

身弱はエネルギーを入れて精神的な満足を志向する宿命なので、たとえば、競争を強いられて満足を得られない環境にいたら、立ち止まって内省する機会を模索すべきでしょう。

あるいは、逆に

身強のエネルギーがさらに強くなると、自己が肥大して、他人を低くみてしまう傾向が、

身弱のエネルギーがさらに弱くなると、自己が委縮して、他人を高くみてしまう傾向があります。

どちらもエネルギーのバランスが崩れて、社会生活に支障が出るというか、いずれ大きな揺り戻しが起こるかもしれません。

 

そのうえで、後天運を活用しましょう。

後天運で旺・相になる五行の地支が周ると日干=自分のエネルギーは強く、休・囚・死になる五行の地支が周ると弱くなります。

特に大運は10年続くので影響は大きく、命式の身強/身弱も大運のエネルギーにひっぱられがちです。

だから、身強は、旺・相になる五行の地支が周る大運では身強の傾向が促されるので、

身強のエネルギーを発揮できているひとは強くなりすぎないように注意が必要ですし、

あまり発揮できていないひとは現実的な目標にチャレンジしやすくなるチャンスかもしれません。

逆に、休・囚・死になる五行の地支が周ると身強の傾向が抑えられるので、

身強のエネルギーを発揮できているひとはアウトプットとインプットのバランスがよく活躍が期待できるかもしれませんし、

あまり発揮できていないひとはながされて自分を見失わないように注意が必要です。

吉凶だけを観るのではなく、意味を考えながら宿命と現実を観て今後の処世のヒントにするというのが、後天運を活かすということだと思います。

 

大谷翔平氏と高木美帆

運のよいひとは、心の声にしたがって、自分の宿命を上手に活かしているひとです。

大谷翔平氏は、高校の寮生活で「何が正しいのかを考えて行動することの重要性」「先入観を捨てることで不可能が可能になること」を学んだのが転機になったといいます。

動く前に考える身弱の強みを活かして、大運の強いエネルギーに支えられながら、いまの活躍があるのでしょう。

いきなり大リーグという厳しい環境ではなく、日本で手厚いサポートを受けながら二刀流に挑戦できたことも、身弱の彼にとってはよかったと思います。

一方、高木美帆氏の転機は、おそらく、ソチオリンピックの代表落選でしょう。

このときに結果に執着することの大切さを悟り「闘争心が芽生えた」と語っていますが、同時に死の大運、すなわち、強い自我を抑えてずっと練習に打ち込んできたことで、いまの活躍があるのでしょう。

彼女は、昨年からナショナル・チームを離れて、コーチと二人三脚で練習に励んでいるといいます。

活動資金もみずから集めなければいけない厳しい環境ですが、身強の彼女には合っていると思います。

つぎのオリンピックでは、さらなる飛躍が期待できるでしょう。

占いのための「陰陽五行」無料講座(第16回)後天運を観る

 

鑑定例:大谷翔平

以前に挙げた男性(1994年7月5日生まれ)で説明しますね。

 壬 庚 甲

 辰 午 戌

身強/身弱のどちらでしょうか?

判定してみてください・・・

身弱ですよね。

最初の大運の干支は何でしょう?

男性で年干が陽だから、月干支の庚午から順まわりで、辛未ですよね。

下表は、左から「その大運がはじまる年齢」「その大運の干支」「日干の旺相休囚死」「喜神/忌神」を並べたものです。

1

辛未

忌神

11

壬申

喜神

21

癸酉

喜神

31

甲戌

忌神

41

乙亥

喜神

51

丙子

喜神

61

丁丑

忌神

71

戊寅

忌神

11~30歳と41~60歳は、喜神が周っていますよね。

すなわち、就労年齢(青年期~壮年期)では、社会生活がしやすい=実力を発揮しやすいということで、人生の四季のめぐりがとてもよい。※

実はこれ、大谷翔平氏なんです。

身弱というのはズバ抜けた身体能力の彼のイメージからは違うように思いますが、

彼の行動スタイルは明らかに「動く前に考える」=身弱ですよね。

二刀流の成功は彼自身の研究とトレーニング、節制の成果ですし、一日10時間前後は寝るそうです。

普段はエネルギーを溜めて、試合で一気に爆発させる感じです。

今後については、再来年から次の大運に入って死でエネルギーは一気に下がります。

しかし、次の41歳からは再び高くなるので、現役を引退した後は再び指導者あるいは違う分野での活躍が続くのかもしれません。

 

鑑定例:高木美帆

同い年の女性(1994年5月22日生まれ)も観てみます。

 戊 己 甲

 申 巳 戌

身強/身弱のどちらでしょうか?

身強ですよね。

最初の大運の干支は何でしょう?

女性で年干が陽だから、月干支の己巳から逆まわりで、戊辰ですよね。

6

戊辰

忌神

16

丁卯

喜神

26

丙寅

喜神

36

乙丑

忌神

46

甲子

喜神

56

癸亥

喜神

66

壬戌

忌神

76

辛酉

喜神

6~15歳の少女時代は身強で旺、このエネルギーをどのように使ったのでしょうか・・・。

16~35歳は、強い自分を抑えてくれる(剋される)気が周ってくるので、バランスがとれて、実力を発揮しやすい期間といえます。

これは、スケートの高木美帆氏です。

人柄はよくわからないのですが、

彼女は、スケートだけではなく、サッカーも日本代表になれるほどの実力の持ち主でしたし、成績も優秀で、生まれ変わったらダンサーになりたいというほどダンスも得意・・・だから、考える前にどんどん動いちゃうタイプなんだと思います。

そういうところは身強ですよね。

そして16歳からは自分が剋される気が周って、エネルギーをスケート一本に集中するようになった、だから、あれだけのメダルをとれたのだと思います。

素質などがあるのはもちろんですが、素質などがあっても、この大運が旺や相なら、いろんなことに手を出してメダルには届かなかったかもしれません。

今後については、36歳から再び旺の大運ですが、このエネルギーをどのように使うのか。

彼女の夢は円満な家庭を築くことだそうですが、一般的な主婦では収まらないでしょう。

いろんなシナリオが描けますが、シンプルに考えたら、「結婚・出産後も選手を続ける」「違う大きな目標に挑む(たとえば、政治家になった橋本聖子氏)」とかでしょうか。

悪い方向で考えたら、自分を抑えきれず独裁者のようになってしまうとか・・・。

どのように気を使うのかは本人次第ですし、可能性の高いシナリオを知るには他の技法によらなければなりません。

 

以上が身強/身弱による後天運の吉凶の鑑定ですが、申し上げたとおり、そんなに感度のよいものではありません。

だから、「喜神/忌神が周る=運がよい/悪い時期、以上」という単純な鑑定は意味がありません。

どのように観れば役に立つ鑑定になるのか、これまで述べたことのまとめも兼ねて、次回、私見を述べたいと思います。

※土の解釈

大谷翔平氏の後天運で気になるのは、31~40歳が死で(身弱だから)エネルギーが一気に落ちている点ですが、この大運は戌=土が周っています。

土というのは、春・夏・秋・冬の終わりに入る土用でしたよね。

だから、戌は秋の終わりの土用なので金ととらえることもできるので、その場合には、31~40歳は死ではなく相になります。

ほかにも、土の解釈によって、鑑定結果は変わってきます。

ここでは、あくまで五行の生剋比のみでシンプルに考えていますが、そのあたりの相違は、後日解説したいと思います。

占いのための「陰陽五行」無料講座(第15回)後天運の吉凶とは

 

吉凶の背後にある中庸

」と言っても、「何の」運かでいろいろあります(金運、健康運、仕事運、結婚/恋愛運など)し、

それらを全部ひっくるめた総合運のようなものも考えられます。

今回は総合運、なかでも、身強/身弱=社会生活のエネルギーという切り口から観た吉凶についてお話します。

占いのための「陰陽五行」無料講座(第13回)身強/身弱と喜神/忌神 - THIS IS YOUR LIFE!では、陰陽五行論中庸(バランスがとれている状態)をよしとするから、

身強は日干=自分を抑える五行(日干が休・囚・死になる五行)が喜神、日干=自分を扶ける(たすける)五行(日干が旺・相になる五行)が忌神と説明しましたが、

なぜ、中庸をよしとするのでしょう?

それは、強=陽と弱=陰の本来のバランスが失われると元に戻す力が働くからです。

すなわち、偏りが大きいほど、その力は急激なものになって影響も大きくなります。

無理して働きすぎると突然倒れたり(最悪、過労死)、

問題を隠して放置していると突然それが明るみになって対応に追われたり、

経済だって景気が過熱しすぎるとその後の不況も深刻だったり(山高ければ谷深し)、

世のなか、例はたくさんありますよね。

だから、ほどほど=偏りすぎないように気をつけるのが一番、というわけです。

 

後天運の吉凶の判断

身強/身弱から後天運の吉凶をどのように占うのか、人生の大きな流れを形づくる大運で説明します。

大運の干支は、月干支から順まわり/逆まわりで10年ごとに周って、命式に影響を及ぼすものでしたよね。

では、身強/身弱にどう影響するのか。

身強/身弱は、日干と三つの地支との生剋比で判断しましたよね。

だから、大運の干支の影響も、周ってきた地支の五行で観ます。

すなわち、地支の五行が喜神であれば運のよい()10年、それが忌神であれば運の悪い()10年、というわけです。

 

身強/身弱というのは「社会生活のエネルギー」の強弱と解釈したので、この場合の吉凶というのは、社会生活のしやすさ、すなわち、生きやすさと解釈してよいと思います。

たとえば、身強は社会生活で消費すべきエネルギーが高く、現実的な成果(お金や名声など)をもとめて主体的に動く宿命ですが、

そこに大運で忌神が周ると、さらに消費すべきエネルギーが高くなるので、バランスを崩しやすい。

だから、意識して自分を抑えるようにしないと、自己主張が強くなりすぎて周囲と軋轢が生じたり、無理に無理を重ねたり、結果、思わぬ出来事でせっかく得た成果を失うことにもなり兼ねません。

あるいは(多くのエネルギーが消費すると解釈すれば)現実的な成果を得るための障害が高くなるということかもしれません。

他方、喜神がまわると、自分を抑える力が無意識に働くので、バランスをとりやすい。

行き過ぎる前に立ち止まって冷静に考えることができるようになり、結果、想定外の出来事を避けられるかもしれません。

あるいは、現実的な成果を得るための障害が低くなるということかもしれません。

 

切り口のひとつに過ぎない

ご注意いただきたいのは、

ひとつは、喜神がまわると「必ず」よいことが起こる、忌神がまわると「必ず」悪いことが起こる、というわけではないということ。

常識で考えても、人生はそんなに単純なものではないし、自分を中心に世界がまわっているわけでもありません。

要は、周ってきた気がそのように働きやすいということで、そのような事象が起こるかは、それ以外の現実の諸事情や本人の意識によります。

事象は(一つの要因ではない)複数の要因が複雑に絡み合って起こるものなので、上で紹介した吉凶は、結果だけを均してみるとそのような傾向がありそうだ、という程度のものに過ぎません。

また、身強/身弱=社会生活のエネルギーという切り口からしか観ていないので、ラフなスケッチに過ぎません。

これとは違う切り口から観ると、一見矛盾するような解釈になることもよくあります。

いろいろな切り口から重ねて観ていくことで、その人物の運の吉凶が少しずつはっきりしてくる、というのが実際の鑑定作業です。

デッサンにたとえるなら、身強/身弱という切り口で書けるのは人物の輪郭だけで、

太っているか痩せているかなど大まかなことはわかっても、二枚目なのか三枚目なのかなど細かいところまでは推しはかることはできません。

 

もうひとつは、身強でなければ身弱というように白黒はっきり分かれるものではなくて、幅があるものなのだから、

身強とも身弱ともいえないようなひと(「身中」とも言います)も多いということ。

前にも書いたように、私の経験上、平均が四捨五入して3点の範囲(2.5点以上3.5点未満)はそのような感じで、故に喜神/忌神による影響も小さいと思います。

それよりも、日干が旺・相になる五行が周ると身強、日干が休・囚・死になる五行が周ると身弱の傾向が出るように思います。

このように、身強/身弱と喜神/忌神による吉凶判断はそんなに感度のよいものではありませんが、

それを踏まえて活用するなら、吉凶の目安として強力な武器になると思います。

 

今回は、能書きで終わってしまいました。

次回は、具体的な例で後天運の吉凶を観たいと思います。

占いのための「陰陽五行」無料講座(第14回)占いと人生の四季

 

命式と使命

自然にある生きとし生けるものには、それぞれに存在する理由を見出せるように、

すべてのひとには、その時代、その社会のなかで果たすべき役割があります。

生まれたときの気(年・月・日の干支)である命式は、そのひとの遺伝子であり、そのひとの果たすべき使命を表していて、

これを読み解くのが命術四柱推命・算命学)の目的のひとつです。

たとえば、前回までみてきた身強/身弱も使命のひとつです。

身強は、社会生活で消費すべきエネルギーが大きいので、環境を変えていくひと。

身弱は、社会生活で消費すべきエネルギーが小さいので、環境に合わせていくひと。

優劣ではなく、どちらも社会生活で重要な役割を担っています。

 

先天運と後天運

さて、とは「ひとの意思や努力ではどうしようもないめぐりあわせ」と言いますが、

その意味では、命式には運が表されている(先天運)ともいえます。

運を使って自分の使命を果たすのが人生だと、古代中国の自然哲学は考えたわけです。

そして、運には、時の経過とともに移り変わっていく運(後天運)もあります。

ひとつは、全員共通の年・月・日の干支と命式との関係で生ずる運(年運歳運)、

もうひとつは、そのひと固有の10年ごと(旬)に周る干支と命式との関係で生ずる運(大運)です。

大運の干支というのは、ユニークですよね。

ひとそれぞれの人生には四季があるというわけです。

 

大運の干支

年・月・日で周る干支は全員共通で、

2023年の年運/歳運の干支は「癸卯」です。

では、ひとそれぞれで10年ごとに周る大運の干支とは、何でしょうか?

四柱推命・算命学の入門書では、その出しかたを細かく解説していますが、

今日日、「四柱推命 命式」「算命学 命式」と検索すれば、生年月日を入力するだけで瞬時に(命式に加えて)大運の干支も出してくれるサイトがたくさん見つかります。

だから、読むだけ無駄で、意味があるとしたら、なぜそのように出すのか、背後にある思想を学ぶことですが、入門書はおろか専門書にもそこまで説明しているものは、ほとんどありません。

だから、この入門講座では、大運の干支の出しかたは(無駄なので)説明しません。

命式と大運の干支は、以前にも紹介した次のサイトでも出してくれます。

https://www.shugakuin.co.jp/fate_calculation

 

ただ、大運の干支について、知っておいた方がよいことが二つあります。

ひとつは、大運の干支がスタートする(後天運が先天運に影響を与えはじめる)年齢は、ひとによって1歳から10歳までの間(1歳単位)で異なること(立運)。

すなわち、10年ごとの人生の区切りの年齢は、ひとによって異なります。

もうひとつは、大運の干支は月干支を基準に順まわりと逆まわりのひとがいること。

すなわち(ここは読み流してよいのですが)男性で年干が陽のひとと女性で年干が陰のひとは順まわり(陽男陰女)、男性で年干が陰のひとと女性で年干が陽のひとは逆まわり、になります。

 

具体的な例で説明しますね。

以前に挙げた男性(1994年7月5日生まれ)の命式です。

 壬 庚 甲

 辰 午 戌

後天運は、次のとおりです。

右から左に縦書きで大運の干支が並んでいて、上の数字はそれが始まる年齢です。

 71 61 51 41 31 21 11 01

 戊 丁 丙 乙 甲 癸 壬 辛

 寅 丑 子 亥 戌 酉 申 未

すなわち、この男性の大運の干支は1歳からスタートしています。

男性で年干は甲で陽なので、大運の干支は順まわり。

月干支は庚午だから、

最初の大運(第1旬)の干支は庚午の次の辛未(庚の次は辛、午の次は未ですね)、

その次の大運(第2旬)の干支は壬申と変わっていきます。

月干支は生まれた月の干支でしたよね。

それが10年ごとに移り変わっていくのだから、まさに「人生の四季」です。

 

つぎは、同い年の女性(1994年5月22日生まれ)の命式です。

 戊 己 甲

 申 巳 戌

後天運は、次のとおりです。

 76 66 56 46 36 26 16 06

 辛 壬 癸 甲 乙 丙 丁 戊

 酉 戌 亥 子 丑 寅 卯 辰

この女性の大運の干支は6歳からスタートしています。

月干支は己巳で、この女性の年干は甲で陽なので逆まわり。

だから、最初の大運(第1旬)の干支は己巳のひとつ前の戊辰(己のひとつ前は戊、巳のひとつ前は辰ですね)、その次の大運(第2旬)の干支は丁卯と変わっていきます。

なお、順まわり/逆まわりと運の良し悪しとは関係がありません。

 

今回は、後天運の干支の話をしました。

次回は、いよいよ、後天運の吉凶について、説明したいと思います。

占いのための「陰陽五行」無料講座(第13回)身強/身弱と喜神/忌神

 

喜神/忌神とは

身強/身弱の判定の後は、いよいよ、運勢を観ていきます。

ここで登場するのが「喜神」「忌神」です。

喜神とは運勢を上げる作用をする五行、

忌神とは運勢を下げる作用をする五行、

をいいます(読みかたはいろいろで、どちらも「きしん」と読めるため、私は「よろこぶかみ」「いむかみ」と読んでいます)。

だから、どの五行が喜神/忌神かを知ることは超重要で、

四柱推命では、身強/身弱、日干とその五行との生剋比で判定します。※

※算命学では(判定方法の異なる)守護神/忌神(しゅごしん/いみがみ)を用います。

 

前回の講座で「中庸」について簡単に触れましたが、

古代中国の自然哲学では、日干(=自分)についても強弱のバランスがとれている状態(中庸)が望ましいと考えます。

だから、日干が強い=身強の場合は、日干を抑える(おさえる)五行、すなわち、日干が休・囚・死になる五行が、

逆に日干が弱い=身弱の場合は、日干を扶ける(たすける)五行、すなわち、日干が旺・相になる五行が、

喜神になります。忌神はその逆です。

占いのための「陰陽五行」無料講座(第11回)身強/身弱の判定 - THIS IS YOUR LIFE!で挙げた同い年生まれの男性と女性の例で、喜神/忌神を観ていきましょう。

男性(1994年7月5日生)

 壬 庚 甲

 辰 午 戌

(1点+2点+1点)÷3=1.3点で、月支は旺ではないので、身弱。

なので、喜神は日干を扶ける(日干が旺・相になる)五行で水・金、それ以外の木・火・土は忌神になります。

女性(1994年5月22日生)

 戊 己 甲

 申 巳 戌

(5点+4点+3点)÷3=4点で身強なので、喜神は日干を抑える(日干が休・囚・死になる)五行の金・水・木、それ以外の土・火は忌神になります。

 

いかがでしょう、ガンガン生剋比を使いますでしょ?

だから、どの五行と相生/相剋になるのかが瞬時にわからないと判定に時間がかかるし、

逆に、相生/相剋がきちんと頭に入っていれば、命術(四柱推命・算命学)の鑑定は難しくないんです。

喜神/忌神の五行の採りかたについて、まとめます。

 

喜神

忌神

身強

休・囚・死

旺・相

身弱

旺・相

休・囚・死

 

例外は極身強/極身弱

さて、上で述べた喜神/忌神の五行の採りかたには、例外があります。

すなわち、三つの地支と(日干以外の)二つの天干がすべて日干の旺・相の五行である命式(「極身強」あるいは「極身旺」といいます)、あるいは、すべて日干の休・囚・死の五行である命式(「極身弱」といいます)、の場合です。

たとえば、前回の講座メモで挙げたキムタクの命式です。

 戊 辛 壬

 申 亥 子

五行にすると・・・

 土 金 水

 金 水 水

日干以外は金・水で、休・囚の五行のみなので、極身弱。

日干を扶ける(日干が旺・相になる)五行が命式にないんです。

また、極身強の例としては、ナンノ=南野陽子ちゃん(1967/6/23生)です。

スケバン刑事ですね。

はいからさんが通るですね。

モーレツにかわいかったですね!

 戊 丙 丁

 午 午 未

五行にすると・・・

 土 火 火

 火 火 土

日干以外は火・土で、旺・相の五行のみで、

日干を抑える(日干が休・囚・死になる)五行が命式にないんです。

 

つまり、極身強/極身弱の命式は偏りすぎていて、日干の強弱のバランスのとりようがないんです。

だから、そのような宿命は、偏って生きることが宿命づけられていると考えて、

偏りを強める五行を喜神に、その他の五行を忌神に採るんです。

普通の身強/身弱とは、喜神/忌神の五行の採りかたが真逆なんですね。

中庸が望ましいって言ったジャン!とツッコミたくなりますが、

宿命上無理なのだから、代わりに(偏って)欠けているところは周りが補ってくれる、という理屈です。

個人ではバランスを欠いていても、社会でバランスをとれていたらいいわけですから。

 

喜神

忌神

極身強

旺・相

休・囚・死

極身弱

休・囚・死

旺・相

 

四柱推命では、極身強/極身弱の命式をあわせて「外局」、普通の身強/身弱の命式をあわせて「内局」と言います(あわせて「格局」と言ったりもします)が、

外局と内局とでは、喜神/忌神の五行の採りかたが違うんですね。

だから、身強/身弱の判定では、極身強/極身弱に該当しないかもあわせてチェックしてください。

ただ、極身強/極身弱に該当する例はかなり少なく、

100件のうちせいぜい数件程度で、極身強/極身弱の偏った生きかたを現実にしているかを考えたら、無視してもさして影響はないと思います。

 

次回は、人生にも四季があるという話をしたいと思います。

【講座メモ】身強/身弱とSMAP、ビートルズ

 

練習問題①SMAP

SMAPの五人の命式で、身強/身弱の判定してみましょう。

名前の横の生年月日から命式を出して※

下と同じかを確認したうえで点数を計算してください。

※命式の出しかたは占いのための「陰陽五行」無料講座(第10回)命式を出す - THIS IS YOUR LIFE!をご覧ください。生年月日を入力したら命式を出してくれるサイトも紹介しています。

 

中居正広(1972/8/18生)

 辛 戊 壬

 巳 申 子

木村拓哉(1972/11/13生)

 戊 辛 壬

 申 亥 子

稲垣吾郎(1973/12/8生)

 戊 甲 癸

 寅 子 丑

草彅 剛(1974/7/9生)

 辛 辛 甲

 亥 未 寅

香取慎吾(1977/1/31生)

 戊 辛 丙

 子 丑 辰

 

中居

木村

稲垣

草薙

香取

年支

3

2

5

2

5

月支

5

2

2

4

5

日支

1

3

1

3

2

平均

3.0

2.3

2.6

3.0

4.0

判定

 

計算できましたでしょうか?

前回書いた通り平均3点前後(四捨五入で3点のイメージ)のひとは、身強/身弱の特徴はあまり出ないように思います。

はっきり出そうなのは、木村(身弱)と香取(身強)ですね。

だから、木村が身弱に、香取が身強に偏った行動をとり続けると、二人は衝突するかもしれません。

宿命からは、香取がリーダーになって他のメンバーをまとめていれば解散は回避できたのかもしれませんが、いかんせん現実は彼が一番年下ですから、そうはいきません。

あるいは、SMAPの育ての親である元マネージャーの飯島三智氏(1958/2/20生)は

(5点+1点+5点)÷3=3.6点→身強ですが、彼女が陰のリーダーとしてメンバーをまとめていたから、うまくいっていたのかもしれません。

 戊 甲 戊

 辰 寅 戌

 

SMAP解散には他にも(運勢上の)原因がありますが※

身強/身弱という視点から集団の力学を分析してみるのも面白いと思います。

※各人の日干支と他のメンバーの命式の干支との間の納音/律音にフォーカスすると、面白い解釈ができます。

 

練習問題②ビートルズ

つぎは、ビートルズでやってみましょう。

ジョンレノン(1940/10/9生)

 乙 丙 庚

 酉 戌 辰

ポールマッカートニー(1942/6/18生)

 壬 丙 壬

 寅 午 午

ジョージハリソン(1943/2/24生)

 癸 甲 癸

 丑 寅 未

リンゴスター(1940/7/7生)

 辛 癸 庚

 亥 未 辰

 

ジョン

ポール

ジョージ

リンゴ

年支

2

2

1

4

月支

2

2

3

4

日支

1

3

1

3

平均

1.6

2.3

1.6

3.6

判定

 

リンゴだけ身強、その他は身弱ですが、メンバーの人間関係はどうだったのでしょう。

身弱ばかりの集団はリーダー不在でまとまりが悪そうで、唯一身強のリンゴの役割がキーになりそうです。

ビートルズ研究家の広田寛治氏は、ビートルズにおけるリンゴの存在を次のように評しています。※

「3人が、自分たちの多様な音楽に柔軟に対応できる感性と才能を兼ね備えたドラマーとして(リンゴに)白羽の矢を立て、ビートルズに迎え入れた」

「(リンゴは)どんなつらいことも常に明るく前向きにとらえる人間的魅力にあふれていた」

「辛辣なジョークを言い放つジョンとジョージ、それをいさめるかのように優等生を演じるポールに対し、あまりにも自然にボケで笑いを取るリンゴを見ていると、ビートルズへの親近感も笑いもまたリンゴの加入でひとまわり大きくなっていた」

リンゴが陰のリーダーとして個性豊かなメンバーをまとめることで、世界に羽ばたく幸運をビートルズにもたらしたのでしょう。

※出所:日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO08532310Z11C16A0000000/

 

身強/身弱はシンプルな分析ですが、現実にどう使っているかに注目すると、意外と広くて深い学びがあることに気づきます。

みなさまも、自分のご家族など、身近なところから分析してみてください。

占いのための「陰陽五行」無料講座(第12回)身強/身弱の解釈

 

身強/身弱についての誤解

身強/身弱とは、日干(=自分)の気のエネルギーだという話を前回しました。

そうなると、エネルギーが強いほうがいいから「身強は運勢が良い」「身弱は運勢が悪い」と思ってしまいがちですが、

これはまったくの誤解で、身強/身弱と運勢の良し悪しとは関係がありません

身強は気のエネルギーが強い/大きい、だから「気/自我が強い」とは言えますが、だから「運勢が良い」とは言えません。

だって、気/自我が強すぎると、自己主張ばかりで、周りから鬱陶しがられて敬遠されちゃいますもんね。

逆に、身弱は気/自我が弱いから損をするということではなくて、

(損をしないように)よく考えてから動くので、(よく考えずに)力任せで動きがちな身強よりも得をすることはフツーにあります。

 

また、気のエネルギーを体力や根性とイコールと考えて、「身強は体力/根性がある」「身弱は体力/根性がない」と解釈するひともいますが、これもまったくの誤解です。

だって、一流のスポーツ選手、偉業や並外れた成功など大きな仕事をしているひとにも身弱はフツーにいます。

 

身強/身弱とはなにか?

私は、身強/身弱という気のエネルギーを、社会生活で使う人間関係の気のエネルギー(以下「社会生活のエネルギー」といいます)と解釈しています。

断っておきますが、命術(四柱推命・算命学)のテキストには書かれていない、まったくの私見です。なので、信じるか信じないかは、あなた次第です。(笑)

ひとは一人では生きていくことはできない、すなわち、社会生活を営むことは人間の本質でもあります。

そこでは、いろんなひとといろんな関係を結ばざるを得ないから、「気」を使うことになります。

そして、関わるひとが多いほど、自分の主張などを通そうとするほど、消費する社会生活のエネルギーは大きく、

逆に、関わるひとが少ないほど、周りの主張などに流されるほど、消費する社会生活のエネルギーは少なくて済みます。

 

身強/身弱は、宿命に定められています。

だから、身強とは消費「すべき」社会生活のエネルギーの大きいひと、身弱とは消費「すべき」社会生活のエネルギーの小さいひと、と解釈することもできます。

あるいは、身強/身弱は(日干の)地支との旺相休囚死から導かれたので、

地支=地の気を地上の世界として、日干=自分の精神を地上で現実にカタチにする欲求、と解釈することもできます。

すなわち、身強は「現実」的な成果にこだわるひと、身弱は「精神」的な満足にこだわるひと、ということになりますでしょうか。

その結果、身強は考える前に動く、身弱は動く前に考える、という傾向があります。

その他、身強/身弱の宿命の傾向をまとめました(下表)。

なぜそのように解釈できるのか、いろいろ考えてみると勉強になると思います。

身強

身弱

気が強い/自我が強い

気が弱い/自我が弱い

現実的な成果

精神的な満足

考える前に動く

動く前に考える

現実的な苦労に強い

精神的な苦労に強い

情にもろい

利に聡い(さとい)

慌ただしい環境に向く

落ち着いた環境に向く

 

身強/身弱の生きかた

重要なのは、身強/身弱をどう使うかです。

車にたとえるなら、身強は排気量の大きいバスやトラック、身弱は排気量の小さい軽や軽トラです。

前者は、多くのひとや荷物を運ぶことができる一方、買い物など小さい仕事をするのには不便です。

後者は、小回りが利いて燃費が良い一方、引越しなど大きい仕事をするのには不便です。

身強/身弱も同様に得手/不得手があって、

身強は多くのヒト・モノ・カネとかかわる環境、身弱はあまりヒト・モノ・カネとかかわらなくてもいい環境にいるほうが生きやすいでしょう。

仕事でいうなら、身強/身弱は、営業/事務、事業主/公務員、ブルーワーカー/ホワイトワーカー、リーダー/メンバー、政治家/学者・・・といった感じでしょうか。

興味深いのは、身強が引きこもっていたりすると、大病や大ケガをすることがあります。有り余ったエネルギーを、大病や大ケガからの回復というカタチで消化させているのかもしれません。

逆に、身弱が出ずっぱりで休みなく動いていたりすると、突然倒れてしまうこともあります。エネルギーが回復するまで、強制的に休ませているのかもしれません。

 

ご注意いただきたいこと

ただ、身強/身弱の生きかたで注意すべきは、偏るのではなく、バランスをとることです(中庸(ちゅうよう)といいます)。

(身強で)自己主張ばかりだと周囲と軋轢を生みますし、(身弱で)流されてばかりだといいように使われてしまいます。

また、(身強で)動いてばかりだとさすがに疲れてしまいますし、(身弱で)考えてばかりだと動けなくなってしまいます。

身強を陽、身弱を陰とすれば、自分に合った陰陽のバランスを保つことが大切です。

 

また、身強/身弱は、10年ごとや毎年周る干支の気(「後天運」といい、後の回で説明します)の影響も受けます。

たとえば、日干を剋する地支(死)の干支が周ると、身強はバランスをとりやすくなるので(自己主張が強いなど)偏りによる悪い面が出るのを抑えやすくなります。

特に、前回の身強/身弱の判定で3点前後(四捨五入で3点のイメージ)のひとは、身強/身弱の特徴はあまりないように見える一方で、

後天運で旺の干支が周ると身強、死の干支が周ると身弱、の特徴が表に出てくることもあります。

 

身強/身弱をいう分類は、ひとの性格を考えるのに役立つ視点ですよね。

だからといって、今回紹介した命式の判定だけで、身強/身弱と決めつけるのは間違っています。

そもそも人間はそんなに単純に分類できるものではありませんし、

命式だけの解釈よりも、命式をどのように使っているのかを観るほうが重要だからです。

身強/身弱もそうで、身強であっても気の弱いひとはたくさんいます。

そういうひとに、気の強い身強のひとと同じアドバイスをしても意味がないでしょう。

今回の判定方法はあくまで「目安」にすぎないということは、忘れないでいただきたいと思います。