THIS IS YOUR LIFE!

人生後半の処世術について考えます

【講座メモ】用神とは

 

用神はどうした?

占いのための「陰陽五行」無料講座(第13回)身強/身弱と喜神/忌神 - THIS IS YOUR LIFE!では、身強/身弱という基準で喜神/忌神の採りかたを紹介しました。

しかし、四柱推命を学んだことのあるかたは「違うんじゃないの!?」という違和感を持たれたのではないでしょうか。

というのは、四柱推命でもっとも重要な概念のひとつ「用神」についてふれられていないからです。

なぜふれられていないのかというと、ひとつは、ベーシックな陰陽五行の知識だけで鑑定できる方法を紹介するのがこの講座の趣旨だからです。

用神を学ぶことは、命式を深く観るうえで重要ですが、初心者には歯がたちません。

多くのかたは、この用神のところでつまずいて学ぶのをやめてしまいますし、長く学んでいても適切に用神を採れるひとは必ずしも多くないと思います。

もうひとつの理由は、その重要な用神の採りかたが流派によってバラバラで、どれを信じてよいか、わからないからです。

そこで今回は、用神について、簡単に紹介します。

ただし、いろんな考えかたがあるので、あくまで私見だということにご留意ください。

 

用神の採りかた

用神とは何か?

算命学では、用神というものは採りません。

四柱推命でも、流派によって用神の意味は異なります。

喜神と同じ意味で使うところ、月支の蔵干をいうところ、あるいは、命式のなかで運勢の良し悪しを左右する重要な干/五行(以下、この意味で用神を考えます)をいうところと、入口からしてバラバラなんですね。

では、何が運勢の良し悪しを左右するのか?

既に説明した通り、五行のバランスがとれているのが良い命式です。

だから、用神は、命式中のバランスをとるのにカギになる五行をいいます。

以前も紹介した大谷翔平氏の命式で説明しましょう。

 壬 庚 甲

 辰 午 戌

まず、各天干(この例だと「甲」「庚」「壬」)の強弱を比べますが、強弱の測りかたも流派で異なるため、ここではこれまで説明した地支との生剋比で測ります。

日干の壬は、(1+2+1)÷3=1.3点で、月令は得ていませんね。

甲は、年支を剋すので2点、月支を生じるので3点、日支を剋すので2点だから、(2+3+2)÷3=2.3点で、月令は得ていません。

庚も同様にして、(4+1+4)÷3=3点で、月令は得ていません。

結果、天干の強さは庚(3点)>甲(2.3点)>壬(1.3点)で「庚が強く、壬が弱い」となりました。

つぎに、一番強い天干を弱めて、かつ、一番弱い天干を強める五行を生剋比で考えて、

そのなかで、日干が(強すぎず弱すぎず)3つの天干の真ん中にくるように働くものが用神です。

氏の場合、一番強い庚を弱めて一番弱い壬を強める五行が用神になります。

 

用神の庚を弱めるのは水(金生水)、火(火剋金)、木(金剋木)ですが、このうち火と木は一番弱い日干を弱めてしまう(水剋火、水生木)ので、よくありません。

残る土と金は、用神の庚を強めてしまうのですが、金は一番弱い日干の壬を強めて(弱くなる)木よりも引き上げてくれるので、よいはたらきをします。

よって、水と金が用神になりますが、価値が高いのは水です。

氏の後天運を観ると、1~10歳は金、11~30歳は水で、成長期に用神が周って運が実力を後押ししてくれています。

逆に31歳(2025年)の誕生日)からは木なので、運が後押ししてくれなくなります。

ただ、氏は才能があって努力のひとなのでまったく活躍できなくなるようなことはないと思いますが、これまでのような超人的な活躍は難しいと観ます。

 

ただし、いままで述べたことには、例外があります。

以前にも説明したように、命式が極端に偏っている場合(極身強/極身弱などの外格)には、用神の採りかたが逆になります。

すなわち、一番強い日干をさらに強める五行、あるいは、一番弱い日干をさらに弱める五行が用神になります。

だから、用神を採るときには、まず、極身強/極身弱などの外格に該当しないかどうかを観る必要があります。

 

論理的な占い

いかがでしょうか、四柱推命という占いは論理的であることがお分かりいただけたと思います。

だから、易やタロットのように直観的な占いに比べて、占い師による解釈のぶれが小さく安定しているのです。

また、(日干の強弱による)喜神/忌神の採りかたは地支を基準にしましたが、今回の(五行のバランスによる)用神の採りかたは天干を基準にしているということにもお気づきになられたと思います。

命術(算命学・四柱推命)ではいろんな鑑定技法がありますが、学習が進めば、それらの使い分けもできるようになります。

 

なお、今回説明したことは、あくまで簡略版です。

一般的な用神の採りかたは、これに(後日紹介する)冲・合・局・方や蔵干にある根なども密接に絡んでくるので、複雑怪奇なものになります。

でもね、そこまで理論を精緻にして、鑑定の精度が上がればいいのですが、本当にそうなっていますか?

私は、違うと思います。

理論をいくら精緻にしても、命式だけで現実を説明しようとするのが無謀です。

たった八文字や六文字でとてつもない数の人間の、複雑な人生を解き明かせると思うのがナイーブすぎますし、ある意味、傲慢です。

重要なのは、命式をどのように使って現実を生きているかを観ることなので、命式の理論を複雑怪奇なものにするのは、百害あって一利なしです。

理論は基本をしっかりと押さえていれば十分で、この講座ではそのようなシンプルな理論を紹介していきたいと思います。