一般的な判定方法
はじめに、今回の記事は、四柱推命を勉強したことがあるかた向けです。
このブログでは、身強/身弱を「社会生活で使う人間関係の気のエネルギー」(社会生活のエネルギー)として日干と地支との生剋比のみで判定しました。
しかし、一般的には、命式の変化(天干の干合や地支の合・局・方)を観たうえで、月令(月支の生剋比)、根(地支の蔵干に同じ五行がある)、党(天干に同じ五行や生じる五行があるか)から総合的に日干の強弱を判定します(職人芸の世界)。
このブログの判定方法は簡便ですが、上記の判定方法と大きく異なる点が三つあります。
一つ目、判定で命式の変化は考えないこと。
理由は以前にも書きましたが、命式は(命式のなかではなく)現実の条件で変化するものだと考えるからです。
それに、命式が変化する条件は流派により微妙に異なるので、困ってしまいます。
二つ目、判定で根は考えないこと。
根の役割を地からエネルギーを吸い上げることと考えるなら、身強/身弱の判定と密接な関係がありそうですが、根と生剋比とは別の概念です。
このブログでは、エネルギーを生剋比のみからシンプルに考えるため、根や蔵干の説明はしていません。
それに、何が蔵干になるかは流派により異なるので、困ってしまいます。
党とは何か
三つ目、判定で党は考えないこと。
理由は、エネルギーは地=地支から得るものだと考えるからです。
ただ、日干の強弱とは関係がないとしても、日干の周り(天干)に仲間や扶けてくれるひとがいたら、日干=自分のエネルギーが弱くても大きな仕事はできるでしょう。
前回挙げたビル・ゲイツ氏の命式です。
壬 丙 乙
戌 戌 未
持って生まれた金運はよいのですが、日干のエネルギーが弱すぎて、このままでは財/禄に逆に剋されてしまいます(反剋)。
77 67 57 47 37 27 17 07
戊 己 庚 辛 壬 癸 甲 乙
寅 卯 辰 巳 午 未 申 酉
後天運を観ると、地支からのエネルギーが弱い日干を扶けてくれるのは26歳までで、それ以降については、マイクロソフトを世界有数の会社に発展させるのには明らかにエネルギー不足です。
かといって、大きな揺り戻しもなく、宿命から大きく外れているわけではなさそうです。
これを説明してくれるのが党です。
27~46歳からは天干に日干と同じ五行=水が、47~66歳からは天干に日干を生じる五行=金が周っていますが、これは彼と同じ志の仲間や周りから扶けられる運に恵まれる可能性を示唆しています。
事実、氏にはポール・アレンという優秀な共同経営者がいましたし、自分で組織を引っ張るというよりも、適材適所に優秀なマネージャーを配置することに気を配っていました。
悩ましい「土」の扱い
あと、生剋比でエネルギーを判定するときに悩ましいのが「土」の扱いです。
五行別に旺相となる地支を一覧にすると下表のとおりですが、見てお分かりのように、土や金は(旺相となる地支が多いため)身強になる確率が高くなります。
五行 |
旺 |
相 |
木 |
寅卯 |
亥子 |
火 |
巳午 |
寅卯 |
土 |
辰未戌丑 |
巳午 |
金 |
申酉 |
辰未戌丑 |
水 |
亥子 |
申酉 |
これを避けるには、月でいえば、辰/未/戌/丑月のはじめの約12日間は木/火/金/水、のこりの約18日間は土、大運でいえば、辰/未/戌/丑のはじめの4年間は木/火/金/水、のこりの6年間は土、とすることですが、煩雑で扱いにくい。
また、辰/未/戌/丑月はそれぞれの四季の終わりだとして木/火/金/水とするひともいますが、それでは今度は土や金が身強になる確率が低くなります。
これは、十二支を五行で表したことに起因する問題なので、アンバランスが生まれるのは仕方ありません。
だから、このブログでは、手を加えずシンプルに判定しています。
十二運とは何か
地支からのエネルギーをはかるには、生剋比(旺相休囚死)とは別に、十二運を用いる方法もあります。
十二運(算命学では「十二大従星」といいます)というのは、地支からのエネルギーを人間の一生にたとえて12段階であらわしたものです(/の前は四柱推命、後は算命学)。
胎/天報星 |
胎児 |
養/天印星 |
赤ん坊 |
長生/天貴星 |
児童 |
沐浴/天恍星 |
少年 |
冠帯/天南星 |
青年 |
建禄/天禄星 |
中年 |
帝旺/天将星 |
壮年 |
衰/天堂星 |
老人 |
病/天胡星 |
病人 |
死/天極星 |
死人 |
墓/天庫星 |
入墓 |
絶/天馳星 |
あの世 |
算命学では、地支の3つの十二大従星のみで身強/身弱を判定します。
十二運は五行とは別の概念なので、
上で述べた五行の違いによるアンバランスは生じませんが、
12もありますし、日干が陰干だと十二運が逆になるので、使いこなせるようになるのが大変です。
ただ、十二運で地支のエネルギーをはかるのは理論的な根拠がありますし、十二運という概念を導入することで、占術の範囲もグッと広がります。
十二運については、機会を改めて解説したいと思います。