THIS IS YOUR LIFE!

人生後半の処世術について考えます

詐欺師の人生①

NHKの番組「アナザーストーリーズ」で豊田商事事件が採りあげられていました。

事件が起きたのは1985年6月。高齢者などから2,000億円近くのお金を集め、その詐欺まがいの悪徳商法が社会問題化していたなか、会長の永野一男が取材中のマスコミの目の前で刺殺されるというショッキングなものでした。憶えているかたも多いのではないかと思います。

ちなみに、この事件を教訓として、クーリング・オフ制度(強引なセールスなどで、消費者が十分に考える余裕のないまま申込みや契約をしてしまったときに生じる被害を防ぐための規定)が設けられました。

 

番組をみて気になったのは、永野一男の人生です。

彼は1952年に岐阜県の農村で生まれましたが、父親は障害があって働けなかったため、家庭は非常に貧しかったといいます。その後両親は離婚、母親の実家がある島根県に移るも、母親が宗教にはまって挙句の果てに失踪、13歳のときに叔父宅に預けられました。

叔父曰く、とてもおとなしい子で、当時の同級生や担任教師でさえ彼のことを憶えていないそうです。この存在感のなさが彼の特徴だったのかもしれません。

中学卒業後、1968年(15歳)に集団就職日本電装(現デンソー)に入社、寮の仲間とロックバンドを組んで女の子たちの黄色い声援を浴びていたといいますが、青春の日々は長く続かず、2年で退職、通っていた定時制高校も辞めてしまいます。こんなところにいても意味がない・・・理由は安すぎる給料にあったようです。中卒ということで、先が見えて嫌になったのでしょう。

このような貧しい生い立ちと恵まれない環境が、カネに対する「執着心」を生んだのかもしれません。