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人生後半の処世術について考えます

天中殺とは何だろうか⑥

前回の「なぜ、未来を占えるのか」で紹介した読売新聞グループ本社主筆渡邉恒雄氏の場合、天中殺の影響はあったのでしょうか?

経歴をみると、天中殺での人生の大きなイベント(就職・結婚・子の誕生など)はありませんでしたが、氏の場合、63歳(1989年)から20年間が大運天中殺です。この間、64歳(1991年)に読売新聞社の社長に就任、70歳(1996年)に読売ジャイアンツのオーナーに就任されています。

しかし、前者は現在も読売新聞グループ本社代表取締役主筆として活躍されていますし、後者は90歳(2016年)まで実権をもっておられました。「天中殺で始めたことはまっとうできない」という原則に反しているように思えますが、これらの出来事への天中殺の影響をどう読み解けばいいのでしょうか?

 

まず、読売新聞社の社長就任については、社長になったというだけで、社長としてされていたことは、それまでにずっとやってこられたことの続きです。たとえば、憲法改正のキャンペーンは、1979年に論説委員長就任後から自社の論調を保守に傾斜させていった当然の帰結だと思います。そういった意味で、天中殺で始めたことではないのです。

次に、ジャイアンツのオーナー就任については、「野球はやったこともなく興味もなかった」のに球団運営や野球界のことを学んでいったわけですから、天中殺で始めたことです。

その結果、よい宿命にもかかわらず、在任中は運気が不安定で、逆に氏の足を引っ張るようなことばかりが起きました。発言の端々を切り取られて「球界の独裁者」と批判されるだけでなく、監督人事や球団運営、プロ野球再編問題などでは目論見通りに事が運ばず、ドラフトでの裏金や選手の野球賭博などの不祥事もありました。

だから、続けてこられたのでしょう。もし氏が夢見ていた「ジャイアンツが2000年から2019年に亘って20連覇し・・・」に近いようなことが起きていたら、氏に大きな禍が起こって突然終りになるようなことが起きていたかもしれません。