なぜ時間は必要?
自分が生まれた「時間」を知らないひとは多いと思います。
だから、「四」柱推命であっても生まれた年・月・日だけで占うことが多く、それは誤った鑑定方法だと言われます(干支=柱が3つなので「三柱推命」と揶揄されます)。
四柱推命で生まれた「時間」を考えないといけないのは、
三つの柱=干支だけで観ると、身強/身弱の判定などが真逆になって鑑定結果が違うものになる可能性があるからです。
それに、四つの柱=干支で観たほうが、組合せが多くより多様な解釈ができますし、
命式のパターンが増えて同じ命式は少なくなるから「ひとの一生は生まれながらに決まっている」と説明しやすくなります。※
※よく「命式は60×60×60×60=12,960,000通りある」と言うひとがいますが、それは月干支・時干支がどのように導かれるのかを理解していないことによる誤りです。
月/時干支は、特定の年/日干に対して12通りしかありません。
たとえば、甲の年の月干は丙寅・丁卯・戊辰・己巳・庚午・辛未・壬申・癸酉・甲戌・乙亥・丙子・丁丑のみで、甲子年に甲子月というのはルール上ありえないんです。だから、命式の総数は60×12×60×12=518,400通りになります。
時干支まで入れると命式のパターンが増えるといっても、せいぜい12倍なんですね。
これに対して、インドの占星術などでは、生まれた時間が「何時」だけでなく「何分」「何秒」かによっても天体の位置関係が変わったりしますから、パターンはものすごい数になります。
生まれた時間は不要
私は(「四」柱推命でも)生まれた時間は必要ないと考えています。
算命学も生まれた時間は考えませんが、同じ立場です。なぜか?
命式で一番重要なのは自分をあらわす日の天干=日干で、
命術は日干と他の天干/地支との関係で吉凶や象意などを分析します。
だから、当然、生まれた年だけ、生まれた年と月だけでは分析できないので、生まれた日は必要ですし、逆に生まれた年と月と日だけわかれば分析できてしまいます。
だったら、生まれた時間は必要でしょうか?
上で述べた「生まれた時間まで観ないと正確な鑑定はできない」というのは、「四柱推命は生まれた年・月・日・時間で観るものだ」という前提があるからで、いまはその前提の是非を問うているのだから、生まれた時間が必要だという理由にはなりません。
生まれた時間は、たとえてみたら1の位に満たない小数点以下の部分で、ひとの一生等を問う命術では誤差のようなものだと思います。
もちろん、目先のことを問う卜術では時間の気は重要で、要は占うこと(占的)への時間の気の影響をどのように考えるかです。
小数点以下である生まれた時間の影響を考える必要があるとしたら、それは日が変わるときでしょう。
四柱推命では午後11時、算命学では午前0時に日が変わりますから、真夜中に生まれた可能性のあるひとは、正確な時間がわかったほうがいいし、
正確な時間がわかっているひとでも、その時間の前後に生まれた場合は、どちらの日が現実の経歴と合っているかを検証したほうがよいかもしれません。
というのは、その時間を境にきっかり日の気が変わるとは、思えないからです。
太陽の南中する時間を12時、その12時間前を一日のはじまりと人為的に決めただけで、
陰陽論では、(生命を育む)太陽の南中する(もっとも盛んになる)時間を陽の極み、その正反対の時間を陰の極み、すなわち、陽のはじまり、新しい気=日のはじまりとしたわけで、気はデジタルではなくアナログで変わっていくからです(陰中の陽、陽中の陰)。
それにね、三柱で観るのが誤りだというのなら、生まれた時間がわからない場合、なぜそれを推計して四柱で占わないのでしょうか?
現実が命式通りになるのであれば、推計するのは簡単なはずです。
同じ日に異なる時干支は12しかないのだから、現実の経歴と合っているかをそれぞれで確かめればいんです。
でも、それさえもやらない占い師がほとんどでしょ?
科学的な根拠なんてないのに、つむじの位置や寝ている時の姿勢(仰向けか横向きか)で生まれた時間を決める占い師もいます。
三柱で観るのは言語道断と言いながら、なんか、おかしいですよね。
ちなみに、インドの占星術では、占う前に、生まれた日の天体の位置関係が時間でどのように変わるかを観て、現実の経歴とを照らし合わせながら、生まれた時間を推計します。
生まれた時間が重要だというなら、それが本来だと思います。
現実を観るのが重要
四柱推命は、時間まで観るといっても2時間単位ですが、なぜ、気が変化する最小単位が2時間なのでしょうか?
1年を12の月で分けたのをまねて、1日を12の時で分けた(24時間÷12=2時間)だけで、ほかに理屈はあるのでしょうか?
そもそも、世界79億人(死んだひともいれるとさらにすごい数になります)の、それぞれに複雑な一生を、たった518,400通りの命式「だけ」で説明できるとすることに無理があります。※
重要なのは、命式をどのように使って生きているかという現実もあわせて観ることで、
命式と現実からそのひとの未来を推し測ってアドバイスするのが鑑定です。
その意味では、時干支まで観るのは、正確さを極めるよりも、ノイズを増やす効果のほうが大きいと思います。
命式だけを観て過去・現在・未来を「当てる」のが占いではありません。
占いは当てものではないということは、肝に銘じたいと思います。
※実は、命式は518,400通りだけではありません。八字(算命学では六字)がまったく同じでも、命式は同じとは限らないんです。ここら辺は(マニュアル通りに命式を出すだけなら関係はありませんが)命式の出しかたの意味を理解するには必要なことなので、機会を改めて説明します。