陰陽論とは(復習)
陰陽論は、論じようとするもの/ことを二つの相反する気(性質など)に分けて、それらの関係を観るものでした。
たとえば、人間のありかたは、「男と女」「精神と身体」「外向と内向」など、いろんな陰陽から論じることができますが、
重要なのは、陰陽を対立させるのではなく、調和するありかたを探ることでした。
そして、陰陽論とは別に、「五行論」という新しい思想が登場します。
今度は、森羅万象を五つの気で論じますが、このブログではその入門を解説します。
五行論とは
古代中国の自然哲学では、次のように考えました。
①この世のもの/ことは五つの気で成り立っていて
②それぞれの気が互いに影響し合っている
今回は、①について説明します。
夜空を観察すると、たくさんの星がまたたくなかで、五つの星(木星・火星・土星・金星・水星)だけが他の星とは違う動きをすることに当時のひとは気づきました。
そして、それら天空の惑星の動きが地上の出来事にも影響しているのではないかと思うようになります。
同時に、人間の生活に必要なものは、木と火と土と金(金属や岩石)と水の五つですべてできていることにも気づきます。
一番身近にある手の指だって、五本です。
空間における位置も、自分のいるところ(中央)を起点に、東・西・南・北の五つで示すことができます。
そして、ほかのもの/ことも重要な五つの要素で成り立っているのだろう、と考えるようになりました。
アナロジー思考とは
加えて、異なるカテゴリー(分野)のもの/ことも、
木・火・土・金・水の五つで分類するようになります。
樹々(木)が育つのは春(季節)で、春には東(方角)から風が吹く、というように。
五つの要素で考えるのはまだわかるが、
なぜ、それらを木・火・土・金・水で一様にグルーピングするのか?
こじつけにもほどがある!わけがわからん!
と思われるでしょうか・・・。
でもこれ、古代人のトンデモ思考というわけではなくて、
現代でも通用するアナロジー思考(類推思考)なんです。
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木 |
火 |
土 |
金 |
水 |
季節 |
春 |
夏 |
土用 |
秋 |
冬 |
方角 |
東 |
南 |
中央 |
西 |
北 |
気象 |
風 |
暑 |
湿 |
燥 |
寒 |
色 |
青 |
赤 |
黄 |
白 |
黒 |
臓器 |
肝 |
心 |
脾 |
肺 |
腎 |
五官 |
目 |
舌 |
口 |
鼻 |
耳 |
アナロジー思考とは、
二つの異なるカテゴリー(分野)の「質」の類似性に着目して、
一方のカテゴリー(分野)で得た知識を他方にも適用する思考法をいいます。
例え話は、アナロジー思考ですよね。
人生とはなにかを「旅」にたとえて語るとか(「人生、山あり谷あり」「人生の分かれ道」など)。
一方、科学的思考は「量」に着目して、
論理で組み立てた仮説を検証していきます。
だから、単純で分解できる自然のありかたを知るには、
科学的思考のほうが詳細に仕組みを知ることができるので、頼りになります。
他方、複雑で分解できない人間や社会のありかたを知るには、
アナロジー思考のほうがざっくりと本質をつかむことができるので、頼りになります。
科学的思考ではアプローチが難しいことは、
アナロジー思考が役に立つことも多いと思います。
もちろん役に立たないことも多いですが。
木火土金水
では、なぜ、五行論ではいろんなカテゴリー(分野)のもの/ことを
すべて木・火・土・金・水で考えるのか?
それは、木・火・土・金・水の間の関係をいろんなカテゴリー(分野)に類推適用して考えるためです。
どんな関係かは、次回②で説明します。
とりあえず今回は、木火土金水、
これを「もっかどごんすい」と暗唱しながら、映像が浮かぶようにしてください。
算数でいえば、1・2・3・4・5と指を折りながら暗唱できるのと同じです。
まだ10までは数えられなくていいです。
それができないと、この先の記事を読んでも無駄です。