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人生後半の処世術について考えます

自殺について考える

コロナ禍のなか、芸能人の自殺が話題になりました。

これまでに「本気で死にたい」と考えたことがある人は2割に達するという調査結果もあるそうですが、自殺を考えても行動に移すのはごく一部です。自殺を防ぐには、周囲のサポートが必要不可欠ですが、そのためには「なぜ、自殺に至るのか」知っておきたいと思いました。

そこで、今回はT.ジョイナーらによる自殺学の説明を簡単に紹介したいと思います。

 

自殺学では、「死にたい」という自殺願望は、家族や友人、所属集団などから孤立している(自分の居場所がない)という感覚(「所属感の衰弱」といいます)と、自分が周囲の人びとや社会のお荷物になっている(自分なんかいないほうがいい)という感覚(「負担感の知覚」といいます)が重なることで生ずるとされています(いずれかの感覚だけでは「生きているのがつらい」などと思う程度にとどまる)。

また、実行に移すには、自殺に対する心理的なハードルが下がる過程が必要である、とされています。すなわち、死に対する恐怖感が衰弱していたり(身近な人の死、薬物・アルコールなど)、自分の身体が傷つくことに慣れていたり(自傷行為や虐待、持病など)することで、「自殺潜在能力」といいます。

そして、自殺潜在能力があるところに、自殺願望が絶望感(死ぬこと以外に苦しみから解放される道はない)により強められて自殺の危機が高まるのだ、と説明します。

このほかにも、「依存的」「衝動的」「そう鬱」「完全主義」などの性格も自殺に影響するようです。

 

では、自殺を防ぐには、本人にはどんなアドバイスをすればいいでしょうか?

自殺学では、自殺潜在能力は長年の蓄積で形づくられるため変わりにくいのに対して、所属感の衰弱と負担感の知覚は動的で変わりやすい、とされています。だから、所属感の衰弱に対しては周囲の人や集団とつながっているという感覚、負担感の知覚に対しては自分が役に立っているという感覚を持ってもらうことがポイントになります。

たとえば、ポジティブ心理学では、他人に「感謝すること」「親切にすること」に焦点を当てます。いずれもこどもの頃に教わるようなことですが、改めてその大切さを認識する必要がありそうです。具体的なワークもあるようなので、参考にしてみるとよいと思います。