THIS IS YOUR LIFE!

人生後半の処世術について考えます

「女帝」小池百合子氏⑧

この本の著者は、氏の政治手法について「敵を作り出して攻撃し、敵への憎悪を人々の中にも植えつけ、その憎悪のパワーを利用して自分の支持へとつなげていく」と指摘していますが、都知事選での敵は石原慎太郎石原伸晃親子と自民党東京都連でした。

氏は、悪い男たちを相手に闘う健気なヒロインを演じて圧勝、都知事になります。そして、すぐに二つの大事業の見直しを掲げました。築地市場豊洲への移転と膨れあがるオリンピック施策の見直しです。前者は石原慎太郎氏、後者は森喜朗氏、そしてこれらに群がる利権集団を敵に仕立てて闘うと、氏の人気は最高潮に達しました。

都議選が近づくと、氏は「都民ファーストの会」を実質起ち上げて圧勝、都議会を制圧します。さらには、総理を目指して希望の党を起ち上げ、弱体化しつつあった前原誠司氏の民進党がこれに合流することになります。

しかし、そこで氏は、最大の失敗をします。記者会見の場で勝ち誇ったような笑みを浮かべて、リベラル派の民進党議員は「排除する」と発言したのです。これがテレビで繰り返し放映されて「傲慢だ」という印象が植えつけられてしまい、氏への熱狂は急速に冷めていきます。女性総理への道は、この一言で潰れてしまったのです。

ところが、そこにコロナ禍が起こって、氏は息を吹き返します。氏が出演する都庁のコロナ対策のCMが盛んに流されて、難なく都知事に再選されたのです。