この本の著者は、氏の性格を次のように分析します。
人に対する冷たさが、彼女に社会的成功をもたらした部分もあったのだろう。他人に心を許さない。常に騙されまいと思っている。用心ぶかく、自分が生き抜くことを考え、得になる人とだけ付き合う。だから、利用価値のなくなった人、下り坂にある人との縁はばっさりと切り、時には相手を悪者に仕立てる。なかなか、そこまで冷徹になれないものだ。
あとで氏の人体図を観ますが、主星は司禄星で2つあります。上は、まさに司禄星が陰転した姿です。
四鎮貴格、納音、干合支刑格と氏の宿命をみてきましたが、ほかにも争財があります(天干二重干合でもあります)。兄弟や仲間、ライバルと財=お金や人気などを争う宿命です。氏は、少女時代の従妹との関係に始まり、政界でも敵をつくり悪者に仕立てて争うことで地位を上げてきました。
氏は、自分の宿命を活かしてデマゴーグ=大衆煽動型政治家として成功しました。しかし、それは有権者にとって必ずしも望ましいものではありません。デマゴーグは、自分が与える印象ばかりに気をとられて、それで生じた事態の責任をとらない傾向にあるからです。
この本の冒頭には、ボードレールの詩の一節が引用されています。
「暗い深淵(ふち)から出て来たか、明るい星から生まれたか?
ぞっこん惚れこんだ『宿命』が小犬のように後を追う。
気紛(きまぐれ)にそなたは歓喜を災害を処(ところ)かまわず植えつけて
一切を支配はするが、責任は一切持たぬ」
氏は、社会の混乱に乗じてヒロインになる術を熟知し、「風がなければ、自分で風を起こす」ことでのし上がってきました。まさに、四鎮貴格を生きているひとだと思います。