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人生後半の処世術について考えます

科学と占い①

今回も、NHKのダークサイドミステリーからです。「ホロコーストナチスによるユダヤ人大量虐殺)はなかった」と主張する歴史作家D.アーヴィングが、「彼はヒトラーの熱烈な崇拝者で、自分の信条に合わせるため事実を歪曲し史料を加工している」と批判した歴史学者D.リップシュタットを名誉棄損で訴えた裁判を扱った回(「世紀の歴史裁判-事実?ねつ造?歴史学者たちの闘い」)で、歴史学について次のような説明がありました。

 

- ある史料のみから歴史を推測するのではなくて、多くの関連史料を積み重ね互いに補いながらいかに精度の高い推論ができるかが問題で、山ほど史料を読まないといけない。

今後、新しい証拠が見つかれば歴史が覆ることもあるが、それは歴史の進歩・進化で、歴史は常に揺れ動くもの。ただ、いろんな知の集積で歴史は書かれているから、その前に既に長いプロセスがある。だから、定説が100%覆されることはほとんどなく、大抵は解釈の微調整ぐらいの範囲で収まる。

歴史家が書く歴史は、ジグソーパズルのようなイメージで、すべてのピースが埋まっているわけではなく、「全体として絵柄はわかる」というのが歴史家のやり方。コアな部分が欠けていたら(それがないからダメなのではなくて)周りのピースからそこの色目を推測していく。これに対して、悪しき歴史家はパズルの一点だけしか見ていないような感じで、両者の違いは歴史の全体像が見えているかどうか。

悪しき歴史家の主張は白黒はっきりしているから一般ウケするが、実際の歴史は白黒で書けるものではないから、説明が長くなって面白みがなくなる。たくさんの史料から推測するという手続きがあるのが科学だが、悪しき歴史家の主張はその手続きがないから反証するのは難しい。-