もちろん「宝くじの高額当選」のように努力せずに運だけで成功を手にできる場合もありますが、それはこの本の対象外なのでしょう。なぜなら、かなりの寺銭をとられている（期待値が投資額を下回る）時点で不利な賭けですし、買い続ければ当選の確率は上がりますが、もとの確率がゼロに近いので上がってもたかが知れているというか（お金持ちでない限り）当選する前に破産してしまうからです。
その意味では、運の方程式以前に「何で成功するか」という目標設定が重要で、少なくとも、成功する見込みがほとんどないようなことに挑戦するのはＮＧでしょう。
人生という複雑な世界でいろんなことの成功確率を合理的に推計するのは困難なので、この本では目標設定には触れられていないのだと思いますが、その挑戦にどのくらいの見込みがあるかは、複数の経験者や専門家などに聞けば、ある程度つかめます。
運には、持って生まれた運（先天運）とその後に巡ってくる運（後天運）に大きく分けられますが、この本の運はもっぱら後者のように思います。前者の運は、両親や生まれた国、知能、身体能力など「宿命」といってもよいもので、つかむのではなく与えられているもの。そのなかで後者の運をいかにつかんで成功するかが人生という「運ゲー」の構図なのでしょう。
やればできるというマインドセットも重要ですが、まずは自分を知ることが先だと思います。
